昭和3年から90年続いた近所のそば屋

近所のそば屋が閉店した。
最寄りの駅への道沿い(住宅地の真ん中)にあるので、日常的に前を通っていたが、創業が昭和3年で90年の歴史があったとは知らなかった。

子供のころ、大晦日の年越しそばをここからとるのがしばらくの間習慣になっていて、わくわくと毎年楽しみにしていた思い出がある。
ところが最近はその大晦日の出前を取ることもなくなり、家庭でそばをゆでて年越しをする習慣になって久しかった。

数日前、同居している母とそのそば屋の閉店の話になった折、
「毎年、あそこからとる年越しそばが楽しみだった」という、自分と全く同じ想いがあったことを知った。
それならばなぜ大晦日に出前を取らなくなったか質問したところ、

「ある年突然、大晦日の容器が使い捨てになった。それから、何となく取らなくなった」とのことだった。

大きな価値を提供し続けて、その店に対するロイヤリティが高かった顧客が、たった一度の意に沿わない経験によって、その後2度とリピートしなかったという話だ。良い思い出をずっと胸に抱き続けていたにも関わらず。

宅配飲食に関わる人間としては恐ろしい話だ。
自らが関わる店舗では、そのような不幸が起こらないよう、心して取り組まないといけないと思い知らされた出来事だった。

ちなみに、閉店理由は経営者のご高齢によるもので商売が立ち行かなくなったからではないと思う。念のため。